データベーススペシャリスト平成28午後II問2を読み解く


過去問リンク

https://www.jitec.ipa.go.jp/1_04hanni_sukiru/mondai_kaitou_2016h28.html#28haru


図2関係スキーマを元に図1概念データモデル(ER図)を埋める



外部キーに着目


まず外部キーに着目して線画が引かれていない箇所を探す。
発電プラント → 保守契約
リコール → リコール対応

平成28午後II問2_1-Page-4

基本的に外部キーを持つ側に矢印が向くが関係が1対1でない場合もあるので問題文を確認する。


サブタイプを探す


午後IIには1つはあると考えていい。
主キーが同じ
発電プラント(プラント番号, 所在地, エリア番号, エンドユーザ番号, プラント区分)
住宅用プラント(プラント番号, ...)
産業用プラント(プラント番号, 設置区分, 合計基準発電量)
発電プラントに区分を持つので排他的サブタイプになる。

平成28午後II問2_1-Page-5

キーワードから探す


同じキーワードが含まれている場合は関連する可能性が高い(ほぼどちらかが外部キーを持つ)

リコール、リコール対応枠、リコール対応
定期点検保守契約、定期点検
遠隔監視保守契約、遠隔監視
予防保全保守契約、予防保全対象定期点検保守契約と予防保全対応
下草刈り保守契約、下草刈り
品目と品目設置対応明細、品目設置回収対応明細
リコール対応、修理対応、予防保全対応と対応明細

後述するが上記はすべて関連していて実際に解答に出てくる。

当たりをつけたら問題文を詳細に見ていく。


設問(2)

エンティティタイプを答えさせる問題。

[あ]が孤立していて問題文を読み込むしかないが近い項目(製品、産業用プラント)などに関連するだろうと当たりをつける。
[い]よりも前に説明があるかもといった予測も可能。
[い, う, え, お]に関しては線が引かれているのでそれに関連する(外部キーを持つ)テーブルになる。
xxxx対応、xxxx構成といったケースも多い(問題文に直接名前が出てこない)ので留意する。


1. 顧客・自社組織
(1)発電プラント
②より
産業用プラントは工場・倉庫屋上または未利用地に設置される。
未利用地設置プラントの場合は、定期的に下草刈りをすることが多いので、下草刈り総面積を保持する。
よりおそらく産業用プラントの設置区分で未利用地とその他を分類している。
未利用地の場合は下草刈り総面積が追加で必要になるので
[あ]は未利用地設置プラントとなり産業用プラントのただ一つのサブタイプになる。

a 未利用地設置プラント(プラント番号, 下草刈り総面積)

2. (1)品目
③ 製品に対応する部材、及び製品ひとつあたりの対応を表にまとめ調べられるようにしている。これを製品部材対応という より
[い]は製品部材対応
対応数を持つ。
部材、部品、製品はよく出てくる。複数の項目をまとめる場合xxxx構成、xxxx対応といった名前になる。

b 製品部材対応(製品番号, 部材番号, 対応数)

2.品目・保守契約
(1)品目
⑤ 各号機を構成する品目については、品目ごとの構成数を記録している。 より
[う]は号機構成品目
構成数を持つ。
号機の説明部分だけでは解答できない。

c 号機構成品目(プラント番号, 号機番号, 品目番号, 構成数)

3. 故障現象・リコール・リコール対応枠
(1)故障現象
②より
[え]は故障現象(別)対応品目
直接関連区分を持つ。

d 故障現象対応品目(故障現象番号, 品目番号, 直接関連区分)

2.品目・保守契約
(2)保守契約
の説明に加え保守契約の関係スキーマに号機がないことから
[お]は保守契約号機

g 保守契約号機(プラント番号, 号機番号, 契約番号)

平成28午後II問2_1-Page-1


残りを埋めていく。


関係スキーマと概念データモデルを埋める


いろいろ試した結果問題文の最初から順次みていって埋めるのがいいかもしれない。

1. 顧客・自社組織
(6) サービス班
現地調査、定期点検、下草刈り、予防保全対応、修理対応、リコール対応 が業務。
それぞれの業務がサービス班への外部キーを持つかもしれない(まだ確定ではない)

平成28午後II問2_1-Page-2

2. 品目・保守契約
保守契約に基づいて①~④のサービスを提供する。
① 定期点検は、定期サイクルを決めて設備が正常に可動しているかを確認するサービスである。
② 遠隔監視は...遠隔監視センタから監視するサービスである。
③ 予防保全の保守契約は、定期点検の保守契約がある号機について結ぶことができる。
④ 下草刈りは、未利用設置設置プラントを対象に、定期的に下草を刈るサービスである。

いずれも1対多の関係になっている。

平成28午後II問2_1-Page-6

リコール(リコール番号, ...)
故障現象のサブタイプになっているがリコール番号で一意なので主キーではない。外部キーにする。
3. 故障現象・リコール・リコール対応枠
(2)リコール
②より 開始年月日, 完了年月日, リコール概要 追加

e 故障現象番号, 開始年月日, 完了年月日, リコール概要


リコール対応枠(リコール番号, 営業所番号, 班番号, 枠番号, ...)
3. 故障現象・リコール・リコール対応枠
(3)リコール対応枠
①③より 年月日, 開始時刻, 終了時刻, 枠状況区分 追加

4. 業務内容
(9) リコール対応
② リコール対応は、リコール対応番号で識別する。
③ リコール対応には1つまたは複数にリコール対応枠を割り当てる。 より
リコール対応番号を外部キーに追加。関係は1対多。
とてもわかりにくい。

f リコール対応番号,枠年月日, 開始時刻, 終了時刻, 枠状況区分

平成28午後II問2_1-Page-7

定期点検(定期点検番号, ,,,)
1. 顧客・自社組織
(6) サービス班
業務には定期点検...がある から
サービス班への外部キーが必要
営業番号, 班番号 追加

2.品目・保守契約
(2)保守契約
直接の記述はないが定期点検保守契約の外部キーが必要。
契約番号 追加

4. 業務の内容
(4)より
定期点検結果概要 追加

4. 業務の内容
(11)より
開始年月日と終了年月日が必要。他の業務も同様。かなり見逃しやすい。

h 契約番号, 営業番号, 班番号, 定期点検開始年月日, 定期点検終了年月日, 定期点検結果概要


遠隔監視(...)
2.品目・保守契約
(2)保守契約
直接の記述はないが遠隔監視保守契約の外部キーが必要。ただし後述の監視年月日と合わせて主キーになる。
契約番号 追加

4. 業務の内容
(5)より
監視年月日, 発電量, 最高気温, 最低気温, 日射量
1日1回という記述に注意する。一意にするため監視年月日も主キーになる。

i 契約番号, 監視年月日, 発電量, 最高気温, 最低気温, 日射量

他と違い遠隔監視番号という記述はないので主キーに注意する(おそらく引っ掛け問題。大体はつける)


現調手配(現調番号, 現調予定年月日時刻, 手配年月日, ...)
4. 業務の内容
(1)
③ 問合せによっては...サービス班により現調を手配し より

営業番号, 班番号
問合せ番号 追加

4. 業務の内容
(5) 遠隔監視
② 遠隔監視センタは現調手配をおこなう より

遠隔開始の主キー
契約番号, 監視年月日 追加

j 営業所番号, 班番号, 問合せ番号, 契約番号, 監視年月日

すべて外部キーになっている。問い合わせの場合のみ問合せ番号が、遠隔監視の場合契約番号, 監視年月日に値が入ることになる。

下草刈り(下草刈り番号, ,,,)
1. 顧客・自社組織
(6) サービス班
業務には定期点検...がある から
サービス班への外部キーが必要
営業番号, 班番号 追加

4. 業務の内容
(6) 下草刈り
下草刈り保守契約があり実施時期が到来したとき、下草刈りを実施し、作業時間を記録する より
契約番号, 作業時間 追加

4. 業務の内容
(11)より
開始年月日と終了年月日 を追加。

k 契約番号, 営業番号, 班番号, 作業時間, 下草刈り開始年月日, 下草刈り終了年月日


現調(現調番号, ...)
4. 業務の内容
(4) 現調
現調結果概要を記録する より
現調結果概要 を追加

4. 業務の内容
(11)より
開始年月日と終了年月日 を追加。

l 現調結果概要, 現調開始年月日, 現調終了年月日


予防保全対応(予防保全対応番号, ...)
4. 業務の内容
(8) 予防保全対応
① 予防保全保守契約があり より
契約番号 追加

②定期点検または現調の機会に予防保全対応の必要性を判断する より
定期点検番号, 現調番号 追加

③サービス班が引き継いで実施する
サービス班は定期点検、現調に紐付いており不要。

4. 業務の内容
(11)より
開始年月日と終了年月日 を追加。

m 定期点検番号, 現調番号, 契約番号, 予防保全対応開始年月日, 予防保全対応終了年月日


修理対応(修理対応番号, ...)
4. 業務の内容
(7) 修理対応
① 修理が必要な場合は修理を実施しどの業務の判断か対応付ける。 より
現調番号, 定期点検番号 を追加。

4. 業務の内容
(11)より
開始年月日と終了年月日 を追加。

n 現調番号, 定期点検番号, 修理開始年月日, 修理終了年月日


リコール対応(リコール対応番号, リコール番号, ...)
4. 業務の内容
(9) リコール対応
① 個々の発電プラントに対応するリコール対応を登録する。 より
プラント番号 を追加
④ 対応状況区分によって把握する。 より
対応状況区分 を追加

o プラント番号, 対応状況区分


対応明細(対応明細番号, 対応区分, ...)
4. 業務の内容
① サービス班が予防保全対応・修理明細・リコール対応の記録に用いている。 より
予防保全対応番号, 修理対応番号, リコール対応番号 追加。

p 予防保全対応番号, 修理対応番号, リコール対応番号


品目設置対応明細(対応明細番号, ...)
4. 業務の内容
② 新たな品目を設置した場合、設置した品目と設置数を記録する。 より
設置品目番号, 設置数 追加。

q 設置品目番号, 設置数


品目回収対応明細(対応明細番号, ...)
4. 業務の内容
② 既存の品目を回収した場合、回収した品目と個体の品目に記されている製造番号を記録する。 より

r 品目番号, 回収品目製造番号


関係スキーマが完成したらER図を埋める。主に外部キーに着目する。
問題文は意味のあることしか書いていないはずなので対応する問題を解答したらチェックを入れて未利用の問題文章がないか確認するのもいい。